貴腐人の憂鬱――鬼上司と犬系後輩に、秘密を握られました――

真鍋は、私の横でラフを直しながら言った。

「藤代さん、この『味方になる』を軸にすると、店頭の言葉が作りやすいです」

「本当ですか」

その言葉が、嬉しかった。

私の言葉が、誰かの手で形になっていく。

怖いけれど、怖いだけではない。

大崎がホワイトボードに作業分担を書きながら言った。

「はい、藤代さんは構成。瀬名くんは現場根拠。真鍋さんはラフ。榊課長は最終判断とクライアント対応。私はみんなの首根っこを掴む係」

「大崎さんの役割が物理的です」

「逃げる人がいるからね」

全員の視線が、なぜか私に集まった。

「なぜ私を見るんですか」

「自覚はあるでしょ」

あります。

非常にあります。

私は小さく頭を下げて、キーボードに向かった。