なんでアイツなんかに

「はい。先輩の分まで私やります。」
私は人に見られるのが苦手。できることなら目立たないで誰にも気にされずに死にたいと思っていた。でも今回だけは違う。舞先輩のためになら頑張れる気がした。
「ほんと!?!ありがとう…!1週間しかないけど…明日から毎日私が教えるから…!ほんとにありがとう…!!」
先輩が私の両手を包むように握った。先輩の手は私より小さい。だけど力はいつもより強かった。
「今日はもう時間ないから帰ろっか。」
そう言ってミーティングをした。そして帰りに
「おい!お前!パフォーマンス頑張れよ!!」
太陽がそう言いながらバンバン背中を叩いてきた。力加減考えろよバカ。
「痛っ…。頑張るよそりゃ…!」
「お前のことなら最高のパフォーマンスできるだろ。頑張れよじゃなあな。」
そう言って走って帰っていった。私はため息をついて下駄箱で履き替え家へとまっすぐ帰った。

帰っても今日の出来事は頭から離れなかった。にわとり。凛斗先輩。そして舞先輩。無色だった日常に急に色が食わった。
私は知らなかった。この日を境に私は虹色の渦にどんどん巻き込まれていくことを。