彼女になりたいし彼女になってほしい(仮)

好きな人がいることすらコチにも言っていないし
そもそも私も今やっと恋愛対象として好きな人だったんだと気が付いた。

恋愛への探究心が強いコチなら根掘り葉掘り聞きたいかもしれないけれどそっとしていてくれる。

その雰囲気に安心して泣きながら想いを口にした。

「より一層好きだって自覚した。」

気付いていた。好きだって思ってた。憧れていた。

「憧れ?とかも、強かった。好きだと、思ってたけど、付き合いたい、とか、これが恋愛かも…、なんて気持ちはー…薄かった気がする。」
「うんうん。」

「ただ…話したり、するのが、楽しくて、共感して、もらえるのが嬉し、かった。」

それだけだったはず。

「今、気づ…いた…。相手に…恋人が…、できて、やっと気づいたよ。」


話ながら杏菜への気持ちが涙へと変わって流れ落ちてくる。

知らなかった。

知ろうともしなかった。

こんなにも私の中で存在が大きくなっていたなんて気付きもしなかった。
知ろうともせず、見ぬまま日を進めていた。


名前を知ってくれていたことへの驚きも
漫画の話を聞いてくれた優しさも
お華を褒めてくれた眼差しも

杏菜からもらう感情や全てのものが特別だったはずなのに、
その気持ちに気付かないまま日を進めたから、そのせいで今更気が付いた。

好きや憧れだけでは片付けられないその先の自分の気持ちが明確になってしまった。
「好き…。」

初めての恋愛なのに、これが恋愛感情である事が分かる。
分かりたくなかったけれど、分かってしまった。

泣きながら必死に話す私をコチが背中や頭をヨシヨシとしてくれる。

「好き、だけど…、苦しくて、、苦しくて、、嫌だ。」

この苦しみから逃げたい。
この苦しみから解放されるのならば、好きなのを辞めてしまいたい。

でも好きなのを辞めるの?と自分に問うと辞める辛さで胸がズキズキと痛む。呼吸が浅くなって涙が止まらなくなる。

好きなのを辞めると脳で思考しても、
心はそれを許してくれそうもなかった。

苦しくて、悲しくて、やるせなくて、

でも好きでいたい。

簡単に辞めれそうにも無い気持ちだと分かってしまった。



「大好きなんだね。そんなに好きなら諦められないね。」

コチの言葉にゆっくり頷く。

「とことん好きでいよう。自分が納得いくまで好きでいよ!」

欲しい言葉がもらえた気がして、
私の恋心が肯定されているようで胸のざわつきが少し落ち着いた。

まだ杏菜を好きでいてもいいような気がした。


「ありがとう」
「いつでも話きくぞ。辛いときは頼るのだ。」
「うん。ありがと。」
「泣きすぎたら脱水になる。ちゃんと水分取るように」

それからコチと何気なく漫画の話をしたり、
一緒に自室で過ごして、少し気が紛れた。

1人でベッドの上で1日中考え込むよりずっと良かった。