私の心臓はドクンと一際大きく高鳴った。
そしてその音がした方を横目で必死に見た。
黒い髪に白い肌。黒縁眼鏡の奥に潜む切れ長の目は、クラス全体をじっと見つめてる。
ー浅生先生だ。
昨日私に傘を貸してくれた先生が視界に映って、訳がわからないほど息苦しくなった。
浅生先生はうちのクラスの副担任で、数学を担当している先生だ。
見た目はいいけど、とにかく口が悪くて生徒からは敬遠されがち。
かくいう私も昨日までは壁があって絡みづらい先生だなって思ってた。
…別に嫌いってわけでもなかったけど。
だけど、自分が濡れるのを厭わずに私に傘を貸してくれた優しい人なんだって知った。
好き…なのかな。
私は心の中でそう呟いて、ひとりでに顔を赤くした。
