浅生先生はもう恋をしないそうなので、私は今日も好きを伝える。


「え…?」




そこには見覚えのある仏頂面があった。




「あ、浅生先生…?」




私が目を丸くして浅生先生を見つめると、先生はぐいっと傘の柄を私の方に差し出した。




「え?な、なに??」



私はその意味がわからずに差し出された柄の部分と先生の顔を交互に見つめた。



「持ってけ。」


「え、いや……。」


「いいから。」




戸惑いながら手を引く私に、先生はなおも傘を私の方に押し寄せた。



「風邪ひくだろ。」



そう言う浅生先生の表情は、さっきと全く変わらない仏頂面で。




でもどことなく柔らかさを感じた。




浅生先生って、そんな表情するんだ。




思わず見惚れている私の隙をついて、先生は半ば強引に傘を握らせた。