浅生先生はもう恋をしないそうなので、私は今日も好きを伝える。


「これ、昨日の。ありがとうございました!」



先生はタバコを灰皿に押し当てると、無機質なビニール傘を受け取った。



「おう、風邪引かなかったか?」


「はい!元気満々です!」



私は先生を心配させまいと、ふざけ半分でマッスルポーズをとった。



そんな私を見て先生は口の端をあげて笑うと、



「馬鹿は風邪ひかねーって言うもんな。」



と返した。




その意地悪な笑顔と、それに反していつもより少し優しい声音に、私はぎゅうっと心臓が押し潰されたみたいに痛くなった。





その笑顔、ずるい。






そして、口が勝手に開いた。






「……好きです。」






その瞬間、2人の間に沈黙が流れた。