春の寮で、きみと

宗介さんなら…この人の手なら…

「……て、手を、よく見せて」
「手?はい」

少し離れたところから手だけを伸ばした状態でこちらに差し出してくれた。
よく観察して、手の形を見て、この人の手は大丈夫だと僕の心に言い聞かせた。

「…だ、大丈夫です。呼吸も落ち着いてきました」
「よかった、もう俺は部屋に戻るよ」

あんなに優しくしてくれた人に僕は隠し事をするの?きっとこれからも同じような場面で、同じように迷惑をかけるのにずっと隠し事をしていくの?

「……ま、」
「ま?」
「……待ってください、話したい、ことがあるんです」
「うん。分かった、聞くから一旦落ち着こっか」

僕は必死に呼吸を落ち着かせて、やっとの思いで宗介さんに告げることができた。中学生の時のこと、話し方のこと、そしてこの発作のことも。