人生の意味と価値 ①

家のドアを開ける。


「……。」


ただいまなんて、言ったら殴られる。


でも、言わなくても殴られる。


親の気分によって、殴られる。


ほんと、自分勝手だ。


子どもだから非力だと思ってるんでしょ。


でも、あなたたちより、純粋だよ。


あなたたちより、醜くないよ。


普段なら、一直線に自分の部屋に向かう。


でも、ちらりと見えたリビングで。


ママと、ほかの知らない誰かがいた。


足が止まった。


声が聞こえた。


「私の娘、聞いたらどう思うんでしょうね。」


「きっと驚かれるんじゃないかな。」


「必ず喜びますよ。だってほら、こんなに美形さんなお兄ちゃんができますもの。」


え?


待って。どういうこと?


『こんなに美形さんなお兄ちゃんができますもの』?


新しい家族ができるってこと?


義兄……。


美形……。


いや、嬉しい……けど、こんな気持ち悪いママができたら嫌でしょ。


「あら、琉月。いるなら出てきなさい。」


いつものド低い声なんてどこへ行ったのか、
ママは高い声で私を呼ぶ。


リビングに足を踏み入れる。


多分、私だけが気づいていただろう。


────ママが私を見る目が、笑ってないことに。


「おお、娘さんも美人じゃないか。」


「そんなことないですよ。」


にこっと微笑むママ。


ムカつく。


死んじゃえ。


媚び売らないでよ。


気持ち悪い。


吐き気がする。


やめて。


ねぇ、誰かママの本性に気づいて。


こんな最低最悪な女、こいつしかいないから。


「……。」


私は男性二人に視線を向けた。


息を呑む。


まず、背の高い男性の方。


若い。かなり。


シワとか肌荒れとか全くない。


なんか釣り合ってなくない?


ママとその人。


ママが霞んで見える。


で、私の兄になる人らしき男子。


美形。国宝級と言っても過言じゃないと思う。


高い鼻、白い肌、イケメンな顔立ち。


ラッキー。目の保養だ。


この二人が眩しすぎて目を細める。


「私の娘、琴音 琉月 ( ことね るな )です。
琉月、挨拶しなさい。」


ママの言う通りにするのは不快。


でも後で蹴られるよりはマシ。


「……琴音 琉月です。よろしくお願いします。」


背の高い男性はにこっと笑ってくれた。


ほっ。


良かった。


男子の方は────。


「……。」


ガン無視だった。


スマホを見て、足組んで偉そうにしてる。


でもまあ、イケメンだから許してやらんことでもない。


そっちが無視するなら、今後私も君を無視するね。


心の中でにこっと宣戦布告する。