「これ、ケーキ。スポンサーはお父さんね」
「ありがとうございます……痛てて」
「大丈夫?」
上体を起こそうとする蒼麻を手伝う。
熊に頭突きされたときに、肋骨が折れたのだという。
箱を開けて、中を見せる。
蒼麻は目を開き、『おおぉ』と感嘆する。
「どっちから食べる?」
「動いてないので、ひとつで十分ですよ。せっかくなので、一緒に食べませんか?」
「そう?」
そんなふうに言われたら、私としてもやぶさかではない。
何せ、私のお気に入りの洋菓子店で購入したケーキなので。
「僕はどっちでもいいです」
お父さんから蒼麻の好みを聞いた上で買ってきたのだから当然だ。
というわけで遠慮なく。



