しかし、またすぐに動き出す。
黒い煙を吐きながら、再び私に向かってきた。
私は無我夢中で持っていた桃を全て投げた。
「ハアハアハア……」
硬直したように停止する熊。
それを見つめながら、私は肩で息をする。
(体が残ったままで、魂は黄泉の国に行ったとか??)
確信はなかったけれど、淡い期待をもったとき──
熊が三度目向かってきた。
「光音、下がってろ!」
蒼麻が私を突き飛ばした。
そうして刀を熊の腹を突き刺した。
刀の切先が背中から出ているのが見える。
確かに貫通しているはず。
なのに、熊は平然と動く。
二本足で立ち、蒼麻に振りかぶって肩に噛み付いた。



