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「お疲れ様」
蒼麻は労いの言葉をかけてくれた。
けれど、私の一体どこがお疲れ様だというのか。
私がやったのは、最後の最後に誰にでもできる簡単なことだけ。
退魔を果たしたのは蒼麻だ。
それだって一瞬の出来事だったかもしれないけれど、私のとは違う。
あっちは鍛錬を積んだ結果なのだから。
──退魔術を学ばせてください。
蒼麻がそう言ってお父さんを訪ねてきた当時、蒼麻は中学3年生で、進路を決める時期だった。
うちの家系は代々、オオカムヅミという魔除けの神様を祀っている神社を護っている。
でも、お父さんは次男だから、神主になる必要はなくて。
それで、得意な退魔を専門におこなう会社を起こし、社長業をする傍ら、自らも退魔師として働いている。
蒼麻の実家も魔除け神社で、退魔術を身につけなければならないのだそう。
だけど、小さな神社で、蒼麻に一から教える余裕はない。
そこで、お父さんを『頼ってきた』と聞いている。



