「お~い。花音(かのん)。鈴子(すずこ)。とっとと帰ろうぜ!今日は最近できたゲーセンによるんだからよ!!」
「大地(だいち)ってば……。ゲーセンが相変わらず好きなんだから…。」
「いいじゃない。のんちゃん。すずは大ちゃんらしくていいと思うけどなぁ~。」
「まぁね。じゃなきゃ、大地じゃないと私も思うから鈴子に賛成だわ。」
私は鈴子に同意した。じゃなきゃ、大地じゃない。大地じゃない大地なんて……なんかいやだ……。私はそう思う。こんなことを思っているときに妙な違和感を感じた。
「あれ?秀一(しゅういち)は?」
「秀ならもう外で待ってるよ。だから待たせるの悪いと思って、お前らを急かしてたんだよ。」
そう言った大地に私は額を小突かれた。
「なにするのよ!!痛いじゃない!!」
と私が大地にとびかかろうとしたときに
「はい!そこまで!そんなことやる暇があったら、はやく外に行きましょう!!」
と鈴子が間に入り、その場を制した。そして
「秀ちゃんが待ってるんだからぁ!ね!は・や・く!!」
こういうときの鈴子には逆らわないほうがいい。じゃなきゃ、あとが怖い。いつもはおとなしい人が怒ると怖いという言葉を以前、身をもって体験した。その体験をさせたのは他でもない。鈴子だ。いつもはおっとりしてるが本気で怒ると理論で圧してくる。そういうところは最近、恋愛の意味でのお付き合いをし始めた秀一に似ている。私たち幼馴染はいつも4人でいることが多い。幼馴染ではなく恋愛の意味で好きだと気付いた秀一は鈴子に頑張って告白したところ鈴子もそうだったらしい。そういう経緯から結ばれた鈴子と秀一はかなりのラブラブカップルだ。きっと秀一が待っていると聞き、はやく会いに行きたいのだろう。それなのに、いつもの喧嘩をし始めた私たちをほっとくわけにもいかず、怒ったのだろう。そう思った私は無言で頷き、鈴子のあとを追いかけた。大地はそのままほっておく。どうせあとから来ても足は速いのだから問題は無い。