いつか交わした約束

重力を感じさせないように、空を翔けているように走るのは、天から授かった才能だ。才能の差なんて努力したって、埋まらない。

才能のあるやつはその上に努力する。1から始めるのと10から始めるのとでは雲泥の差だ。

だから、瞬次は陸上が嫌いだ。走った分だけ伸びる、長距離は才能よりも努力に傾いたスポーツだ。世間で言われていることは一理ある。

だが、それは瞬時にとって通用しない。

ーー走ることは、自分を表す材料でしかなくなってしまったよ。

冬の冷たい空気は遠慮なく瞬次にぶつかる。瞬次は防寒具をつけていないことを少しだけ後悔した。