黒鳥のオディール

 拾い上げ確認すると、それは森で無くしたはずの、自身の上着のボタンでした。

(……これは。森で無くした物、それを彼女が……)

 指先に伝わる銀の温かさに、愛情からの温もりを感じます。
 ジークの脳裏に、誓いの言葉を聞いた瞬間のオディールの顔を鮮烈に蘇らせます。

 歓喜などではない。自分を殺し、愛する人を欺く苦痛に歪んだ、あの蒼く、あまりに悲しい瞳。

「オディール……。君は、一体何を思って……」

 ジークはボタンを強く握りしめました。

 助け出さねばならないのは、呪われた白鳥の姫だけではない。

 彼女もまた、この呪いから救ってほしいと、ジークに呼びかけている気がしてなりませんでした。