「……もう警察官じゃないし、お前を守れない」
いつになく低いトーンで紗凪を突き放すような口調できっぱりと告げると、彼女はみるみるうちに笑顔が消えた。
ぷくっと頬を膨らませては立ち上がり、俺を見上げる。
「なんで、さっきから酷いこと言うの? 來生くんの意地悪」
「別に本当のことだろ。というか、俺がいなくても大丈夫だろ。お前には、彼氏がいるんだし」
「まだ彼氏じゃないよ」
「“まだ”ってことは、これから彼氏になる人だろ」
「……」
俯いた彼女に畳み掛けるように言葉を投げかけた。
「早くあいつに返事を言ったらどうなんだよ? いつまでうじうじ考えてるんだよ。そもそも俺と一緒に過ごしている時点で大丈夫じゃん。お前は、男性恐怖症を克服してるんじゃないのか?」
「來生くんは別だよ。従兄弟だからお互いのこと昔から知っているし。でも、最近知り合った人を結婚前提にお付き合いを初めては、いずれ一緒に暮らすかもしれないと考えた時、やっぱり不安に思っちゃうの。出会ったのがマッチングアプリだし。中には詐欺師だったり、嘘をついて女性に近づこうと距離を詰める男性も中にはいるじゃん」
「まあな。否定はできないけど。でもそれってごく一部の人間じゃん」
「そうだけど、薪原さんもそういう人なのかなとか思っちゃって」
「あいつなら大丈夫だ」
俺がはっきりと断定したものだから、紗凪は目を丸くした。
「なんでそんなこと言えるの? まだ1回しか会ったことないのに」
「あいつのこと調べまくったからな」
「え?」



