さよなら、未来を生きる君へ


紗凪は昔から霊感が強くて、彼女にだけ俺のことが見えた。

小さい頃、家族ぐるみでどこかにお出掛けしたときも、誰も座っていないベンチを指差しては「誰かいる、怖い」と言っては周りのほうがゾッとしてたし、「女性の叫び声が微かに聞こえた」と今にも泣き出しそうな顔で俺に訴えられたこと何回もあるけれど、俺には霊感ないから幽霊とか見えないし、声も聞こえない。

不安がる紗凪に「俺がついているから大丈夫だ」としか言ってやれなかった。

俺が警察官になったのも紗凪を守りたい一心で過酷な訓練も乗り越えてきた。

だけど、どんなに守りたい人がいても死んだらなにもできない。

「この2年間。俺は、ずっと紗凪のこと見守ってきた。亡霊なりに」

「……」

「でも、いつまでもお前の側にいられない。俺には、もう残された時間がないんだよ」

悲しい顔で俺を見上げた紗凪は「……あっ」と言葉をこぼした。