さよなら、未来を生きる君へ


今から2年前。

都内で無差別殺傷事件が起きた。

容疑者を追っていたのだが、犯人は拳銃を所持していてたくさんの警察に囲まれてもう逃げられないと思ったのかいきなり銃を発砲した。

俺たちが近づけないように何度も何度も弾がなくなるまで乱射する犯人。

近くに停めていたパトカーの後ろに回り身を隠したが足を打たれて動けずにいる仲良い同僚を助けるべく危険が及ぶ中、彼の元へ駆け寄った。

肩を貸すと彼は痛む足を引きずりながらも歩いてくれて、あともう少しでパトカーに着きそうと思ったその時、犯人が放った弾が運悪く頭に命中し、当時26歳だった俺は命を落とした。

それなのに、なぜか俺は天国に行かずにこの世界にいた。

翌日の朝、近所のおばさんたちの井戸端会議の内容が耳に入り、犯人が捕まったという情報を知った。

そして、死んだ実感湧かずに自分の葬式を客観的に見ていた。

同じ職場の人、家族、親戚、そして紗凪も来てくれた。

絶対号泣して悲しむだろうと思っていたけれど、彼女は涙を1つも流さないどころか「來生くん、良かった。生きてた。事件に巻き込まれたって連絡が来たから心配してたの」と俺のところに来ては安堵の表情を浮かべては、ハンカチを目に当てて泣いている俺の家族に報告した。

「來生くん、生きてますよ。ほらここに」

指を揃えて俺を指しながら伝えたけれど、「そこに誰もいないじゃないか。変なこと言わないでくれるか」と俺の親父は紗凪の言葉を突き返した。

他の人たちに伝えても誰も信じなかったことから、自分が亡霊であることを悟った。