あの曲みたいな恋だった。


真柴は、特別カッコイイわけじゃない。


だけど、いつも面白いことを言ってみんなを笑わせてくれる。


いつのまにかみんなを盛り上げている。


そして、ただのお調子者のムードメーカーってだけじゃなくて、優しいところもあるんだ。


あれは初めて同じクラスになった小学3年生の時のこと。


あの頃、わたしのクラスではこっそりクラスメートの靴箱の上履きを反対にするイタズラが流行っていた。


ある日の放課後、偶然帰り際に昇降口で真柴とすれ違った。


その時に一言、「春名の靴、反対だったから直しておいた」って言われたんだ。


「……あ、ありがとう」


突然のことに驚いて、それだけ言うのが精いっぱいで。


あの時、思ったんだ。


真柴って、わたしのことをよく見てくれているんだなって。


そして、わざわざ直してくれるなんて優しいなって。


今思えば、あの時から真柴はわたしにとって気になる男の子だったのかもしれない。