喉元まで出かかった言葉を、必死に押しとどめる。
だけど、溢れてくる気持ちは止められず、思わず凪沙の右手に自分の左手を重ねていた。
「…湊…?」
少し驚いたように真帆が僕の名前を呼ぶ。
心が揺らいでいる、今なら。
いっそのこと、この想いを全部ぶつければ。
このまま君を奪おうと思えば、奪えるのかもしれない。
一瞬、もうひとりの自分が囁く。
だけど、ふっと脳裏を過ったのは彼のとなりで幸せそうに微笑む真帆の姿。
あんな風に真帆のことを笑顔に出来るのは、悔しいけどあの人だけなんだ。
会えない寂しさも、苦しさも、悲しみも、癒せるのは“彼”だけなんだ。
だから…⋯。


