奇跡。

Side:山田 紀乃


「自動販売機でジュース買ってきてくれる?」


男女合わせて8人。


私はカラオケに来ていた。


お金を渡さずにそう言ってくるのは、私の友達、真凜 美琴。


スクールカースト上位の彼女。


私は、逆らえない。


だから、私は。


作り笑いを浮かべて、こう言う。


「うん。分かった。」


口角、ちゃんと上がってるかな。


笑顔、引き攣ってないかな。


ブサイクに見えてないかな。


心配でたまらない。


私の "笑顔" 。


私は一人カラオケ屋を出る。


冷たい風。


青い夕方の空。


綺麗。


でも、辛い。


いつまでこんな "私" を演じ続けるの?


利用されてるのは分かってる。


いいように使われてるのは分かってる。


でも、もし。


それを "嫌だ" と言ったら。


私は殺される。