好きになった人は、みんなのアイドルで 2

「ねえ、恥ずかしい。コート着て」
「やだ、紬ちゃんもコート脱いで」

言い合いしながらまた水槽を見る。

くらげの大きな水槽があって、思わず駆け寄る。
「ねえ、悠太郎くん、めっちゃ綺麗」
振り向くと、悠太郎くんに写真を撮られる。

「……今、撮った?」
「撮った。かわいすぎて」

一瞬、何も言えなくなる。

「……写真撮るなら、二人で撮りたいんだけど」
小さな声で言ったのに、
「いいよ、水槽の前で撮ろっか」
とスマホを構えてくれる悠太郎くんがスマートでかっこいい。

「撮るよ」
距離が近い。肩が触れそうで心臓の音がうるさい。

「コートの前開けて、おそろいなの分かんないじゃん」
悠太郎くんが当たり前のように言う。
「だから、恥ずかしいってば」

初めてのツーショットがペアルックとか、
……私たち、ちょっと浮かれすぎじゃない?

大きな水槽を抜けると、もうお土産売り場。
「……もう終わり?」と呟くと、
悠太郎くんが笑って「お土産見る?」と聞いてくる。

「……見る」小さく頷く。

「ねえ、これ可愛い」「これも」
ってぬいぐるみを見せる度に悠太郎くんは笑ってくれる。
今日の記念に何か買って帰りたいけど、何がいいかな。

「ねえ、この子とこの子、どっちが可愛い?」
イルカのぬいぐるみを悠太郎くんに見せたら
「うーん、俺はこの子かな」
って、イルカのペアキーホルダーを見せてくる悠太郎くん。

なにそれ。……ずるい。そういうの、嬉しい。
「え、付けるの、恥ずかしくない?」って聞いたら
「ちょっと恥ずかしいけど、紬ちゃんとならいいよ」って答えてくれる。
「じゃあ、それがいい」

服はたまたまおそろいだったけど、
一緒に選んだおそろいも、増えていく。