好きになった人は、みんなのアイドルで 2

「なんか最近、たるんでない?」
碧(あお)に言われて、やっぱりかと思う。

碧は一緒にPROJECT NOVAに出ていた親友?戦友?みたいなやつ。
2個下だけど、碧のことは頼りにしている。
埼玉から1時間かけてスタジオに通ってるストイックなやつで、
そういうところも本当に尊敬している。

「……うん、俺も自覚したとこ」
「ふーん、ならいいけど」

靴紐を結んで、すぐにストレッチを始める碧の動きには無駄が無い。
俺も並んでストレッチを始める。
こっちも見ずに、碧が「なんかあったの」と聞いてくる。

「……彼女できた」
「え、作らないって言ってたじゃん」
「……そうなんだけど、めっちゃ好きな子できちゃって」
「ふーん、それで最近楽しそうだったんだ」
「うん」
「で、腑抜けてたと」
「うん、なんも言えない」
図星すぎて、まじで何も言えない。

「彼女、なんて言ってんの」
「え?」
「悠太郎が、アイドルになること」
「……知ってるけど、まだ深い話は」
「彼女とか、俺分かんないけどさ。ちゃんとしとけば」
まだ高校生なのに、達観してるというかなんというか。
ぐうの音も出ない。

「一緒にデビューするって、言ったじゃん」
碧が呟く。
「悠太郎が腑抜けてるとこ、見たくない」

「うん、ごめん」
呟いて立ち上がる。
「心入れ替えたから」

「うん、それならいいけど」
隣に碧が立つ。

アイドルの夢、絶対諦めない。
……紬ちゃんに、ちゃんと俺の思いを伝えようと思った。