好きになった人は、みんなのアイドルで 2

ーー悠太郎サイド

「ねえ、恥ずかしい。コート着て」
「やだ、紬ちゃんもコート脱いで」

些細な言い合いすら楽しい。
恥ずかしがってる紬ちゃんも可愛いし。

紬ちゃんが、くらげの大きな水槽に駆け寄る。
つい見とれてしまう。
(……この紬ちゃん、残しておきたい)

「ねえ、悠太郎くん、めっちゃ綺麗」
振り返る紬ちゃんを思わず撮る。

「……今、撮った?」
「撮った。かわいすぎて」
(全部言うじゃん、俺の口!)

「……写真撮るなら、二人で撮りたいんだけど」
紬ちゃんが小さな声で言う。
なんなのこの子。俺のこと、どうする気?
「いいよ、水槽の前で撮ろっか」
平然を装って言うけど、スマホを構える手が震える。

「撮るよ」
距離が近い。肩が触れそうで心臓の音がうるさい。

「コートの前開けて、おそろいなの分かんないじゃん」
照れ隠しに言うと
「だから、恥ずかしいってば」
って頬を膨らます紬ちゃん。
可愛すぎる。もう無理。キャパオーバー。

大きな水槽を抜けてお土産売り場が見えると
「……もう終わり?」って寂しそうな顔をする紬ちゃん。
ごめん、もう可愛いしか出てこない。……語彙死んでる。

「お土産見る?」と聞くと
「……見る」小さく頷く紬ちゃん。

可愛いぬいぐるみを見つける度に見せに来てくれる。
なんなの、俺、こんな幸せでいいの?
「ねえ、目が合っちゃった」
ワニのぬいぐるみを見せてくれる。
……紬ちゃん、ワニはいなかったでしょ。

棚を見てると、イルカのペアキーホルダーが目に入る。
2頭のイルカをくっつけると、ハートの形になる。
(……こういうの、紬ちゃん喜ぶかな)
(いや、ベタすぎる?)
(もう無理、分かんねえ……)

「ねえ、この子とこの子、どっちが可愛い?」
同じ顔のイルカのぬいぐるみをふたつ持って紬ちゃんが駆け寄ってくる。
「うーん、俺はこの子かな」
って、キーホルダーを見せると少し黙って俯く紬ちゃん。

……やばい。
俺キモかった?
ごめんごめんごめん、今の無し!忘れて!

紬ちゃんが恥ずかしそうに
「え、付けるの、恥ずかしくない?」って聞いてくる。
(……なに、照れてたの?良かった)
「ちょっと恥ずかしいけど、紬ちゃんとならいいよ」と答える。

「じゃあ、それがいい」
弾ける笑顔の紬ちゃんが、眩しかった。

おそろい、これから増やしていこう。