好きになった人は、みんなのアイドルで 2

「イルミネーションも終わったし、帰ろっか」
悠太郎くんがそう言って、歩き出す。

駅はすぐそこ。バイバイするのは寂しい。

そんな私に気付いたのか
「……もう遅いけど、少し喋ってく?」

うん、と小さく頷くと
自販機で温かい飲み物を買ってくれる。
「ココアとミルクティー、どっちがいい?」
「……ココア」
「はい、ココア」

ベンチに座って飲み物を飲む。
「……なんか、変な感じするね」
悠太郎くんが笑うから、つられて笑う。
「改めて、これからよろしく」
「うん、よろしく」

「呼び方、紬ちゃんのままでいい?呼び捨てにしようか」
「え、なんでもいいよ。紬でも、つむちゃんでも、むぎでも」
「え、紬ちゃん、つむちゃんとか、むぎとかって呼ばれてるの?」
「幼稚園の頃、つむちゃんって呼ばれてた。地元の友達はむぎって呼ぶ子もいる」
「えー、なんかそれ、特別って感じでいいな」
ずるっ、と小さく呟いて笑った悠太郎くんが可愛い。

「悠太郎くんは?なんかあだ名あった?」
「いやー、俺は皆から悠太郎だな。あ、小さい頃はゆうくんって呼ばれてた」
「じゃあ、ゆうくんって呼ぼうかな」
悪戯心で言うと、それはちょっと嫌かも、と悠太郎くんが笑う。

「じゃあ、しばらくこのままでいっか」と笑い合う。

今までも悠太郎くんと過ごす時間は楽しかった。
でも、これからは彼女。
きっともっと、楽しくなる。