Something Blue


「荷物おっも」

「体育祭だけやのになんで重いん」

緋由と悠が喋っているのを横目に、僕はいつもより明らかに中身の少ないカバンを椅子にそっとかけた。

体育祭が終わってからクラスで打ち上げをするというような話は特に出なかったので、僕と緋由と悠は高校の最寄り駅であるK駅近くのマクドに向かった。

注文したLサイズのポテト2つと適当に選んだドリンクを受け取って、僕たちは2階の窓際の席に陣取る。

「体育祭がんばったー」

トレイに置かれたポテトを1本つまみ上げ、緋由がへらりと表情を崩す。

「運動したあとは塩分に限るよなー」

「それなー」

僕の左隣に座る悠が、右手にポテト、左手にファンタメロンを持ってこくこく頷(うなず)く。

「てか今日の借り人競走バカおもろかったよな、西が見原先生連れて行くとことか」

西とお題を交換した結果、僕が織宮さんを連れて行くことになったあの時のことだ。

あの時は必死だったけど、緋由から改めてこんな風に言われるとなんとなく恥ずかしくなって落ち着かない。

「第2レースで生活指導の先生連行されてたんもおもろかったわ」

「そういやあったな。面白かった」

織宮さんのことばかりを考えていたせいで話題に乗り遅れそうになり、僕は慌てて緋由の発言に同意する。

「お題書いたん誰なんやろ」

「体育委員やで」

手元のコーラを置いてそう疑問をぶつけると、悠がぼそっとそう答えた。

「ちなみに俺はツインテールの人って書いた」

「そうなんや」

僕の最終的なお題、『彼女・好きな人』は誰が書いたのだろうと考えが巡る前に、悠がもう一度口を開く。

「2年とか3年の先輩がふざけて『好きな人』とか『校則違反してそうな人』とか書いてた。来年も体育委員になっておもろいお題書こっかな」

僕の疑問を見透したかのようなタイミングで飛び出した悠の発言に、僕は思わずつまんでいたポテトを取り落とした。