Something Blue


「ごちそうさまー」

食器を台所に置いて、僕はさっさと2階の自室に引き上げる。

部屋の扉を閉めると、さっきまでテレビで流れていた歌番組のポップなBGMと喋り声がひどく遠くなった。

ガス抜きするように細長く息を吐き出し、僕は無気力に机に向かった。

そしてカバンの中から適当に取り出した論表のワークとノートを机に広げる。

「はぁ…」

僕はペンを持つ右手と、左に置いた論表のワークを交互に見やって思わずため息を落とした。

並んだ英文たちが、意味をなさない謎の黒い列と成り果てる。

『What do you do in your free time?』

初めて織宮さんと向かい合って話したあの日の彼女の声が、脳内に鮮明にリフレインする。

ペアワークを『話した』判定にしていいのかはよくわからないが。

「明日チェックか…」

明日の論表の授業で課題チェックがあることを思い出し、一気に現実の底に突き落とされる。

浮(うわ)ついたことを考えている暇はない、と心の中で自分を叱咤し、僕はペンを持ち直す。

その瞬間、机の端で充電ケーブルに繋いでいたスマホが着信を知らせた。

【結羽】

僕は指先でそっと応答ボタンに触れた。