「え、LINE?」
衝動的に告白してしまったあと、織宮さんから「ちゃんと考えてから返事したいから、LINE教えて?」と言われた僕は、思わずフリーズしてしまった。
「…うん」
織宮さんが制服のスカートから白いスマホを取り出すと、スマホケースについたラインストーンが光を反射した。
その光に導かれるように僕もカバンからスマホを取り出し、LINEのQRコードを立ち上げる。
「あ、あたし読み取るよ」
片手で器用にスマホを操作しながら、織宮さんは僕の差し出したQRコードを読み取ってくれた。
「追加できた!」
織宮さんが軽く歯を見せて笑いながら、スマホの画面を僕に向けた。
まだなにも送られていない淡青のトークルームの上には、僕のアカウント名『日和』がある。
「後で連絡するね!」
スマホ片手に頬を淡い桃色に染めて、柔らかく僕に笑いかけた織宮さんが軽やかに走り去っていく。
彼女の姿が見えなくなってたっぷり10秒、僕は恐る恐る手元のスマホを確認した。
『結羽』
トーク一覧の一番上に、新しく追加されたアカウント名に思わず口角が上がってしまうのがわかる。
満ち足りた気持ちで駅の階段を駆け上がると、制服のズボンに入れていたスマホが落ちた。
階段を何段か転がっていったスマホを拾い上げ、恐る恐る画面を確認する。
「はぁ…」
画面右上から蜘蛛の巣のように大きく走ったヒビに、僕はここ最近で一番のため息をついた。



