Something Blue


誘導された先で配られた青いビブスを着ていると、誰かが僕の肩を叩いた。

「日和」

ビブスに途中まで体が入った状態のまま振り向くと、眠たげな目をした坂倉が堪えきれないと言わんばかりに吹き出した。

「どんな姿勢やねん、お前」

「こんな姿勢やわ。」

至極真っ当なことを返すと、「まあ、うん…とりあえずみんな円なってるし急げよ」と笑いと困惑の混ざった声色で坂倉が僕の前から立ち去る。

軽くビブスを整えてから、パーチームの輪に入れてもらう。

すぐにその場に座る指示が出たので、周りをろくに確認しないまま適当な位置に腰を下ろす。

僕の鼻腔をふわりと撫でた、静かな花の匂いが僕の視線を引き上げる。

僕の視界のど真ん中に映った、華奢(きゃしゃ)な肩にかかった黒髪の後ろ姿――織宮さんだ。

「…今から15分間の練習です!各チーム、手を繋いで、協力して、最短タイムを目指してください!」

ステージ上でルール説明をしていた青いTシャツの男性が、ホイッスルを吹き鳴らす。

騒がしくなったD組パーチームの輪に、今度はきちんと交ざって、指示通り隣の人同士で手を繋ぎ合う。