近くにいるための嘘

「美桜ちゃん!どうしたのその顔!」
一晩中泣いてパンパンに腫れた顔を見てママが驚く。

「……推しが、推しが落ちたあ」
あんなに泣いたのにまだ涙が出る。

ママは推しとか詳しくないけど
「そうなのね、悲しかったね」と背中をさすってくれる。

「今日、学校休む?その顔じゃ行けないでしょ」
「そんなに酷い?」
鏡を見ると目がパンパンに腫れている。
「……休む」

学校に行っても、YUTAROくんを思い出して泣きそうだった。

「学校には電話掛けてあげるね。ママ仕事だけど、一人で大丈夫?」
心配してくるママに「大丈夫」と答える。

家に一人になると、また布団に潜り込む。
スマホで「YUTARO」と検索する。
同じようにYUTAROくんの脱落を悲しむ人たちがいて、少し、ほっとする。

昨夜眠れなかったから、少し眠くなってくる。
うとうとして目を覚ますと
……YUTAROくんのインスタが開設されていた。

(……YUTAROくん!)

直筆のお手紙が上がっている。
「ファンの皆さんのおかげでここまで来れました。ありがとうございます。」

(……私の応援も、届いてたかな)

もう番組では見れないけど、
YUTAROくんの今を知る術ができたことが嬉しくて、そのまま眠りについた。