傘♡恋

 集合場所に着いた俺達は「じゃあ…」と言って何事もなかったかのようにそれぞれのバスに乗り込んだ

 莉緒にとっては、ただ俺に傘を差し出して一緒に入って帰っただけの他愛もない何気ない時間だったに違いない。でも、俺にとっては何年分もの恋心が一気に襲ってきたような、ハートを矢で射抜かれたようなものすごい破壊力のある出来事のように感じた…

 その日以来俺は、来るもの拒まず…のスタイルを変え、莉緒一筋になる事を決めた







 「裕人俺、緑川莉緒が好きだから⁉︎お前には渡さない」
 親友の裕人に高々と宣言した俺は小学校から一緒でずっと親友である裕人に嘘をつきたくなかった

 「はっ⁇ふざけんな⁉︎莉緒ちゃんは俺が先に好きになったんだっつうの」
 小学校の時から何をするのも一緒の裕人とは、趣味まで一緒の事が多く、好きな女の子もたびたび重なる事が多かった。でも、その度に俺は裕人に好きな女の子を譲ってきた

 「お前にはいつも譲ってやってるだろ⁉︎だけど今回ばかりは譲らねー。俺に譲れ」
 今回ばかりは譲らないという姿勢を崩さない俺に裕人は少し考えている

 「……分かったよ。でも莉緒ちゃんがお前に靡くとは思えねーけど⁈」
 
 「……それなら俺に作戦がある…まあ、無理かも知れないけど一か八かやってみるわ」
 
 俺が莉緒を落とすために考えた作戦は“傘泥棒“だ。裕人には作戦を話すと、「それって下手すると逆に嫌われるんじゃねーの」と言って反対された

 「まあ…正攻法でいっても多分莉緒には効かないから、一か八かやってみるわ」
 莉緒に嫌われるかもしれないリスクを考えたが、莉緒の印象に残りたい。普通に告白して振られるなら、少しでも印象に残して自分を意識して欲しいと俺なりに考えた結果だった