傘♡恋

 谷島くんに連れて行かれたのは、立花くんが私を呼び出したB教室だった

 (……この教室に連れてこられるとか何だろう⁇……)
 
 立花くんに呼び出されたこの教室に連れてこられるとか思い出してしまって落ち着かない

 ガラッと扉を開けると、そこには意外な人物がいた
 
 「花実⁉︎ほら連れてきたぞ」

 連れてこられたB教室で待っていたのは、昨日甘ったるい声で立花くんに話しかけ、キスをしていた可愛い女の子だった
 昨日の可愛い女の子は“花実さん“と言うらしい。花実さんは連れてこられた私の姿を見ると私に近付いてきた。

 (……花実って昨日の子だよね⁉︎私を呼び出して何言われるんだろう⁇……)

 自然と手に力が入って構えてしまう。私は何を言われるのか怖くて堪らなくなった
 
 「へー。一の好きな子ってこんな子なんだ…なるほどね」

 構えて怖がっている私に反して花実さんは私を一瞥すると納得したように涼しい顔をしている

 「私と一だったらもうそういう仲じゃないから。私に彼氏に振られると一に慰めてもらってたの。つまりセフレみたいな⁈でももう俺は好きな子一筋でいたいからって振られちゃった」

 “これでいい⁇じゃあ私行くね“
 谷島くんに言うようにけしかけられたのか花実さんはそれだけ言うと早々に教室から出て行ってしまった

 「一って本当はこういう子が好きなんだ。今まで告白できなかったのが何となく分かる。釣り合わないもんね」
 去り際に言い残して言った言葉が、私も思っていた事と同じだったから驚いてしまった

 (……私も同じ事考えてた。私じゃ立花くんには釣り合わないって……)

 「莉緒ちゃん⁉︎花実も悪い子じゃないから昨日のこと許してやって⁉︎一が本気で好きな子出来たって思ってなかったみたいなんだ」

 谷島くんは花実さんを庇うみたいに言葉を発した。今日は驚く事ばかりで頭が上手くついていかない。泣いてばかりいた昨日と違って、心のモヤモヤがとれてスッキリとして入り自分がいた

 「一は今までは女の子と真面目に付き合ってこなかったチャラ男だったけど、今は本当に莉緒ちゃん一筋で莉緒ちゃんの事が好きなんだ。莉緒ちゃんみたいな真面目な子には直ぐには受け止めきれないだろうけど、あいつの気持ちを信じてあげて」
 
 立花くんが意外と真面目な事はこの数ヶ月一緒にいて分かっていた。モテるし女子関係が絶えない事も…
でもチャラい事ばっかり言っているだけじゃなくて、本気で私に気持ちを伝えてくれていたって事も本当は伝わっていた

 「立花くんが本当に私の事が好きだって私も分かってる…だから、他の子とキスしてる所は見たくなかった…」

 谷島くんは私の言葉にクスッと笑った。見た目はチャラいけど、谷島くんも立花くんも花実さんも、本当は優しい悪い人達じゃないって事が、この数ヶ月で分かった気がした

 「その言葉、そっくりそのまま一にいってあげて⁉︎だって一は今まで何でも俺に譲ってくれたのに、莉緒ちゃんだけは絶対俺にも譲らねえって俺に啖呵きったくらいだからさ。普通傘泥棒になってまで好きな女の子落とそうとは思わないだろ⁈」

 谷島くんは本当にいい人だと思う。私は笑って「うん。本当に有り得ない。でも、そのおかげで立花くんが悪い人じゃないって分かった。谷島くん有難う」と言って教室を後にした

 (……立花くんに私の本当の気持ち伝えなくちゃ……)
 
 私は立花くんに自分の本当の気持ちを伝える決意をした