僕の秘密と、彼女の嘘

……何やってるんだ、僕。

気づけば僕は、七瀬の通う高校の正門前に立っていた。
下校時間はとっくに過ぎているらしく、生徒たちが三々五々、校舎から出てきている。

正直、自分の行動に自分で引いている。

――これ、ただの待ち伏せだよな。
――いや、待ち伏せって言うとまだマシで、ほぼストーカーでは?

頭の中でセルフ通報しかけながらも、それでも足は動かなかった。

……顔が見たかった。
話がしたかった。
七瀬の気持ちを、ちゃんと知りたかった。

……って考えてる時点で、思考が完全にストーカー寄りなのは自覚してる。

でも。

七瀬が、好きだ。

でも僕は女で、きっとそれは受け入れてもらえない。
もし七瀬に本当に好きな人がいるなら、今の関係は終わらせなきゃいけない。

……だけど、そもそも会えるのか?

何時に帰るかもわからないし、もう帰った後かもしれない。
やっぱり帰ろう――そう思って踵を返しかけた、そのとき。

「七瀬、じゃあねー!」

女子の声が聞こえた。

ハッと顔を上げる。

……来る。

人混みの向こうに、見慣れた茶色い髪。

――いた。
間違いない。七瀬だ。手をひらひら振っている。

……いや、それより。

七瀬の隣に、誰かいる。

背が高い。
この前、かき氷を一緒に食べていた男だ。

……同じ学校、だったんだ。

どうする?
声をかける?
かけない?

――いや、呼ばなきゃダメだ。

ここまで来たんだから。
逃げたら、たぶん一生後悔する。

「七瀬!」

喉が裂けそうなくらい、ありったけの勇気を集めて叫んだ。