「ごめん、応えられない」
「…どうして?」
「傷付けるだけだよ」
「芽依が、俺のことを?」
頷いた。
「傷付いても構わない。好きな子の隣で、笑っていたい。好きな子を幸せにしたい」
「…傷付いても知らないよ 」
私は俯いてそう言った。
彼はどこか寂しげに笑って、立つように促してきた。
そして私を抱き締めてきた。
「これからは、ちゃんと名前呼んで。呼ばれた覚え無いから。そうだな、京くんとか」
「分かった」
私からは、好きとは言えない。
ただ好きな人と傍にいることしかできない。
帰り道、手を繋いでいた。
それもなんとなくそわそわして落ち着かなくて。
本当に、私の選択は間違っていなかったのだろうか。
告白に、傷付くだろうけどいいの?と言ったのに、突き放さなくて良かったのだろうか。
京くんとの関係が壊れるのが怖くて、つい許容してしまったけれど。
私は全く優しくない。
好きな人を傷付ける選択をしてしまった。
ごめん京くん。
自分を守る選択を、してしまった。
「どうしたの?浮かない顔してさ」
「なんでもない」
「ふーん。彼氏できてほわほわーって感じじゃなくて、なんか俺拗ねる」
「京くんは、彼女できてほわほわーなの?」
「内心はね?」
私は、嬉しい気持ちと、心苦しい気持ちでいっぱいだった。
だって私の余命は、あと3ヶ月から半年だから。



