好きになった人は、みんなのアイドルで

今日で試験終了。明日から夏休み。
夏休みいっぱい遊ぼうね、と約束して栞と別れる。

試験終わり、栞とご飯でも食べに行きたかったけど
人が足りないのでシフトに入ってほしいと頼まれていた。

駅の改札を通ると、見慣れた金髪。
……え、悠太郎くん。

無視して通り過ぎるのも変だよね、
気付かないふり……ううん、おかしい。
どうしよう。なんて声掛ける?

少し後ろで一人脳内会議をしていると
悠太郎くんが振り向いて、目が合う。
カフェに来る時みたいにイヤホンを片耳外して
「あ、つむぎちゃんだ」

「悠太郎くん、おつかれさま」
何事も無かったかのように挨拶する。

「帰り?」
「うん、これからバイト」
「え、俺も今からレッスン」
「そうなんだ」
「一緒に行こっか」

……え。バイト先の最寄りまで3駅10分。
駅からバイト先のカフェまで徒歩5分。計、15分。
じゅ、15分も悠太郎くんと一緒!?
無理無理無理無理、そんなの、心臓持たないよ!

「あ、ごめん、迷惑か。……彼氏とかいるよね」
「い、い、いない。一緒に行こ。」
咄嗟に口が動いてた。
だって、悠太郎くんが申し訳なさそうな表情するから。

電車は空いてて、隣に座る。
(……近いです!もう無理!)
悠太郎くんが座ってる右側だけ熱い。

「試験終わったー?」
「うん、今日で終わり」
「俺も!大学ってもっと楽かと思ったのにきついわー」
「分かる、1日に3つ試験の日とかあった」
「俺MAX4つ。やばくね?」
「それはやばい」

(普通に喋れてる?私、大丈夫?)

駅に着く。改札を出て、バイト先に向かう。
自然と車道側を歩いてくれる悠太郎くんに少しドキッとする。

「夏休みも結構シフト入ってるの?」
「うん、結構入ってる。時間はマチマチだけど」
「俺もめっちゃレッスン入れてるから、夏休みも多分会えるね」
「うん……そだね」

……会えるね、だって。
そんなこと言われたら、嬉しいじゃん。

カフェに着く。
「じゃ、バイト頑張ってね」
「ありがと、悠太郎くんもレッスン頑張って」
「ありがと、またね」
「うん、またね」

「おつかれさまでーす……」
上の空で挨拶をして更衣室に入る。
え、なに、今の夢?頬をつねると痛い。
てか、ほんとに頬をつねる人とかいるんだ。

夏休みも会えるね。
……うん、いっぱい会えるといいな。