好きになった人は、みんなのアイドルで

ーー悠太郎サイド

大学の廊下でつむぎちゃんとすれ違う。
「あ、つむぎちゃん、おつかれ」
「悠太郎くん!おつかれさま!」
「あ……またね」
「うん、また」

バイトの時とは違って下ろしている髪が風になびく。
つい振り返ってつむぎちゃんを見てしまった。

「カフェの子じゃん」拓海が小突いてくる。
「なに、振り返ったりして。やっぱり気になってる?」蓮まで。

「いや、ちが、バイトの時と雰囲気違ったから」
「かわいいなって?」
うん、確かにかわいかった。
……いや、かわいいって、なんだよ。

「……俺、彼女とか作んないし」
「誰もそんな話してないじゃん」
「やっぱり意識してるじゃん」

聞かれてもないのに、彼女の話とかして……。
意識してる?俺が?つむぎちゃんを?

「もういいじゃん、行こ」
つむぎちゃんの後ろ姿が頭から離れなかった。