好きになった人は、みんなのアイドルで

推しだと割り切ったら、
なんだか好きでいても良いような気がしてくる。

カランカラン。ドアが開く。
「いらっしゃいませー!」
今日も悠太郎くん来るかな。

カランカラン。ドアが開く。
「いらっしゃいませー!」
あ、悠太郎くんだ。

イヤホンを片耳外してレジに来る。
「つむぎちゃん、おつかれ」
「おつかれさま、悠太郎くん」
推しとの特典会だと思えば話せるはず。
……特典会行ったこと無いけど。

「アイスカフェラテお願いします」
「かしこまりました!」

何話そう。
カフェラテを作りながら頭をフル回転させる。
オーディション番組の動画見たよ?
……他の女の子たちと一緒にされたくない。
今日はレッスンどうだった?
……急に聞いたら気持ち悪いか。

何も思いつかないままカウンターに戻る。
「お待たせしました、アイスカフェラテです」
「ありがと」
悠太郎くんがカフェラテを受け取って席に着く。

やっぱり話せないよ。

……推しは今日も、発光していた。