好きになった人は、みんなのアイドルで

火曜日の3コマは空きコマで、
だいたい栞と学食でだべって過ごす。
外を見ると悠太郎くんもこの時間が空きコマのようで、
また友達とバスケをしていた。
それを見ている女の子もちらほら。

私の視線の先に気付いた栞が言う。
「今日もバスケしてるねー」
「してるねー」
「かっこいいねー」
「うん、かっこいいねー」
「あれ、なんか素直じゃん」
「……うん、推しとして見ることにした」
「なんで?まあ、別にいいと思うけど」
「なんか、遠い人だなって」

友達と笑いながらバスケをする悠太郎くんの笑顔が眩しい。
かっこいい。もっと話してみたい。仲良くなりたい。
でも……。

「ね、推しだと思ったら、カフェで名前呼ばれるのとか特典会みたいでやばくない!?」
あえて明るく言う。
「それはやばいね、めちゃくちゃ当たりのやつ」
「絶対呼んでくれるの、つむぎちゃんおつかれって」

つむぎちゃん、おつかれ。
悠太郎くんの顔が思い浮かぶ。

近づきたい、なんて思ったらダメだ。

ステージでキラキラ輝く悠太郎くんの動画を見たら、
好きだなんて、烏滸(おこ)がましくて言えなかった。

……うん、推しだもん。
推しとしてなら、見ててもいいよね。