金曜の深夜。歓楽街の裏通りは、吐き気がするほど欲とアルコールの匂いに満ちている。俺は壁に寄りかかり予想外の言葉に、心臓の奥がドクンと跳ねた。
汚してやりたいと思っていたその瞳に、俺の醜い中身を暴かれた気がした。
「……チッ。うるせぇよ、ガキが」
俺は彼女の手首を強引に掴むと、駅とは反対方向の、さらに暗い路地裏へと引き寄せた。
「ちょっと、何するんですか……っ」
「黙ってついてこい。……お前に、もっといい『薬』を教えてやるよ」
俺は彼女の耳元で低く囁き、わざとらしく熱い吐息を吹きかけた。怯える彼女を離さないまま、俺の口角は、自分でも制御できないほど歪に吊り上がっていた。
結局、俺は彼女を駅まで送り届けた。……ただ、真っ直ぐ帰すのが癪だっただけだ。
改札の前で、俺は愛用の、傷だらけのジッポを彼女の手に押し付けた。
「それ、俺の命の次に大事なもんだ。返してほしけりゃ、またここに来い。俺は蓮。……お前の名前は?」
「……澪漢字です」
それが、俺たちの歪な始まりだった。俺は確信していた。彼女は必ず、この「毒」を返しに来る。
汚してやりたいと思っていたその瞳に、俺の醜い中身を暴かれた気がした。
「……チッ。うるせぇよ、ガキが」
俺は彼女の手首を強引に掴むと、駅とは反対方向の、さらに暗い路地裏へと引き寄せた。
「ちょっと、何するんですか……っ」
「黙ってついてこい。……お前に、もっといい『薬』を教えてやるよ」
俺は彼女の耳元で低く囁き、わざとらしく熱い吐息を吹きかけた。怯える彼女を離さないまま、俺の口角は、自分でも制御できないほど歪に吊り上がっていた。
結局、俺は彼女を駅まで送り届けた。……ただ、真っ直ぐ帰すのが癪だっただけだ。
改札の前で、俺は愛用の、傷だらけのジッポを彼女の手に押し付けた。
「それ、俺の命の次に大事なもんだ。返してほしけりゃ、またここに来い。俺は蓮。……お前の名前は?」
「……澪漢字です」
それが、俺たちの歪な始まりだった。俺は確信していた。彼女は必ず、この「毒」を返しに来る。



