遼くんは泣き顔がお好き。



「あ、邪魔になってるね!
じゃああたしはこれでー…」

「あのさ、昨日のことだけど
気にしないで?」

「え…」

「いや、気にして欲しいんだけどね?
昨日行ったことは嘘じゃないんだけど。
でも久原さんすげぇ困ってるみたいだから、
…一旦気にしないで欲しい」

一旦気にしないで欲しい…??

一旦、とは…?


頭の周りにはてなマークが飛び回る。
そんなあたしの顔を見て困ったように笑った宮尾くんは、
流れるような仕草で手を伸ばした。


「教室入んなよ。先生来るよ」

頭に載せられた大きな手のひらが前髪をくしゃりと掻き回した。


な、

なんだこの人。

なんでこんな少女漫画の男みたいなことすんの。


こんなことされて”気にするな”って、
いや気にするに決まってんだろ。

じわじわと赤くなる顔のまま、あたしは立ち尽くすことしか出来なかった。