「周りの人の目誰よりも気にするくせに、そのくせ誰かのこと庇って自分が割食ってるんだもんなぁ」
「………」
「ほんと、あの時だってー…」
そこまで言って慌てて口を塞ぐ。
中途半端に途切れた言葉の先を催促しようとして遼くんの顔を覗き込むと、ふいっと目を逸らされた。
「あの時って?」
「あー…あの時だよ、ほら、れいちゃんが大泣きしてた時」
「ちょっ、あれは忘れてよ!!恥ずかしいから!
なかったことにして?!」
改めて思い返しても、正気じゃなかったと思う。
初対面の遼くんとクラスメイトの宮尾くんの前でわんわん大泣きして。
高校生のやることとは思えない。
「…わすれないよ、絶対」
静かな声に思わず顔を上げると、真っ直ぐにあたしを見る目と視線がぶつかる。
茶色の目に太陽の光が差し込んで、透き通って見えた。
「あの日のことは絶対忘れない。
れいちゃんを見つけた日だから」
そう言って笑った顔が泣きそうに見えて、
何故かきゅうっと喉の辺りが締め付けられる。
目が離せない。
地面に縫い付けられたみたいに立ち尽くしたまま、
ただその顔を見つめていた。
