遼くんは泣き顔がお好き。



「…廊下で男にベタベタして、恥ずかしくないのかねー」

不意に聞こえた言葉に肩が跳ねる。
ミカちゃんの声だ。

「体育館で鼻血出してたくせに。
あの顔写真撮っとけばよかったぁ」

「あれウケたよね!ざまぁ」


言いながらクスクスと笑う声に顔が強張っていくのを感じる。
教室の真ん中でお弁当を食べていたはずのミカちゃんたちはいつのまにか教室の入り口に固まっていて、
あたしを軽蔑したような目で見つめている。

「ミヤにも色目使ってさ、まじでウザい
何様なの?かわいくもないくせに」

言葉が刃物みたいに降りかかってきて、
どんどん傷がついていくみたい。

数ヶ月前まで友達だと思ってたことが嘘みたいだ。

「…ごめ、」

「なんで謝んの?
何も悪いことしてないじゃんれいちゃんは」


咄嗟に口をついて出た謝罪の言葉は横にいた遼くんに遮られる。
遼くんにしては硬い声だった気がして顔を上げると、
ミカちゃんたちを見つめる冷たい目があった。