なんとかカバンをゲットして、靴箱へ向かう。
後ろからちょこちょことついてくる遼くんの気配を感じながらなんとか足を動かした。
身体のだるさがさっきより強くなってる気がする。
お母さんに迎えにきてもらったほうがよかったかもしれない。
「れいちゃんやっぱ1人では帰れないっしょ。
俺送るから」
「いやいいから…大丈夫」
「拒否権はありませんのでぇー…」
言いながらあたしに手を伸ばした瞬間、無意識に身を屈めてしまっていた。
"ねえ久原さん、お願い。
もうこれからはアイツだけじゃなくて他の人にも、簡単に触らせたりしないで?”
なんで今、宮尾くんの言葉を思い出してしまうんだろう。
熱を孕んだまっすぐな目を思い出して、心臓が変な音を立てる。
「…ねぇれいちゃん、なんかあった?」
「別に、何もないけど…」
「けど、なに?何もないなんて嘘でしょ」
言いながら目を細める遼くんは、獲物を狙う獣みたいな鋭い顔で。
直視できなくて、目を逸らした。
「なんでもないってば!大体なんでそんなしつこく聞いてくんの?何もないって言ってるんだから、そっか、で済ませてくれたらいいのに」
「れいちゃんのことはぜーんぶ知っておきたいから」
「怖ぁ…」
ドン引きするあたしの顔をうっとりした表情で見つめて頬を撫でる。
遼くんも宮尾くんも、人の顔触りすぎじゃない?
