遼くんは泣き顔がお好き。



「あっっつ…」

容赦ない日差しに肌を焼かれ、蝉の鳴き声のうるささに顔をしかめる。
あたしの苦手な季節がやってきてしまった。

暑い、
暑い。

それしか考えられない。
じわじわと汗で湿っていくシャツが不快で、襟元を掴んでパタパタと風を送ってみる。

…こんなことで涼しくなるわけもないけど。


「れいちゃんおはよぉーー」

「遼くん…おはよ。」

顔だけ振り向くと、涼しげな顔をした綺麗な顔が目に入る。
なんでこの人こんなに涼しそうなの?
こんなにも暑いのに。

「なんでそんな汗かいてないの?汗腺ないの?」

「え、汗かいてんじゃん。ほらこれ、こことか」

言いながらぐいっとワイシャツの襟元を広げる。
気のせいか、その瞬間周りで小さくざわめきが起きた気がする。

男の子にしては白い胸元にすぅっと汗の筋が通っていて、
見ちゃいけないものを見た気がして目を背けた。


「こらこら…そんな胸元開けるもんじゃないよ…」

「じゃあれいちゃんがボタン閉めて?」

言いながら、ボタンをとめやすいようにかがんでみせる。
こんな通学路のど真ん中でできるか。