遼くんは泣き顔がお好き。



きっとあたしたち、お互いのことなんてどうでもよかったんだと思う。
相手がどんな顔してるか、
どんな気持ちになっているか。

そんなこと考えずに、自分の身の置き場しか考えてなかった。
ミカちゃんたちは強いから、強いグループにいれば学校生活は安泰だと思ってた。
だけどきっと、あたしは毎日つまらなかったんだ。

今更こんなことに気づくなんて。

「なんかね、すごく冷たく聞こえると思うんだけど。
あたしミカちゃんたちのことあんまり興味なかったんだと思う」

ぽつりとだした言葉は思っていたよりも小さくて、聞こえてるかも分からない。

「とりあえず空気読んでみんなが笑ってたら合わせて笑って、話の流れ読んで当たり障りない返事して。
それでつまんなそうに見えてたんだね、たぶん」

中学の頃、友達に囲まれる学校生活にずっと憧れてた。
やっと手に入れたと思ったのに、
あれが本当にあたしが欲しかった友達だったんだろうか。


「別にいーじゃん、今わりと楽しそうなんだし」

遼くんの力の抜けた声に顔を上げると、
頬杖をついてあたしを見ているだるそうな瞳と目が合った。

「…楽しそうに見える?」

「少なくとも前よりは楽しそうに見えるんじゃん?
ねぇ、宮尾センパイ」

「うーん、まぁ前よりは…少なくとも俺らと弁当食べてる時はよく笑ってる、と思うよ?」

「はーーーーぁ??俺と居る時もれいちゃんよく笑ってるから。笑いすぎて鼻水出してるから。」

「どんな張り合いしてんの、てか鼻水出る笑い方ってやばくない?」


そうか、あたしは今楽しそうに見えるのか。
ミカちゃんたちにハブられて、もうおしまいだと思ってた。
なのに今、ミカちゃんたちと一緒に居る時よりも楽しそうに見えるなんて。