遼くんは泣き顔がお好き。



ファミレスでの勉強会から徐々に頭が切り替えられたのか、テスト勉強はいつもよりスムーズに進んでいた。
今回の期末は流石に赤点スレスレの点数を取るわけにはいかないし、この調子で頑張らないと。
休憩時間に単語帳をめくりながらそんなことを考えていた時だった。

「休憩なのに勉強?本当に頑張ってるんだ」

「江波さんっ…!」

「何、そんなにびっくりしてんの」

「初めて話しかけられたから…」

「そうだっけ?まぁいいや。
これ、ファミレスに忘れてったでしょ」


机の上にぽんと載せられたのは見覚えのあるボールペン。
犬のマスコットがついた緑のそれは、たしかにあたしのものだった。

「これ無くしたと思ってた…ありがとう、お気に入りだったんだ」

「そうだろうね。これ可愛いし、気に入ってるんじゃないのかなって思ってた」

「…あのさ、話しかけといてもらってあれなんだけど…
あんまあたしと教室で話さない方がいいかも。
今度また改めてお礼させてね!」


ミカちゃんたちに見られたら、江波さんもとばっちり受けるかもしれないし。
今度お菓子でも買って江波さんのロッカーにでも入れておこう。


「…なんで?なんで話しかけたらいけないの?」

「え、それは」

「別に気にしないけど、あたしは。」


さらりと言われた言葉に目を見開く。
気にしない、ってそんなことある?
ミカちゃんたちに目つけられたら終わりなのに。