遼くんは泣き顔がお好き。



「遼くん?…どうしたの、そんな顔して」

「そんな顔?俺どんな顔してた?」

「なんか難しい顔してたよ」


俺を見上げて首を傾げるれいちゃんが可愛すぎて、頬が緩む。
初めてれいちゃんを見た時、大泣きしているその顔を見た瞬間あの子の顔がぴたりと重なった。

きっと、れいちゃんはあの子だ。

だけど今は、言わない。
まだ言うには早いから。

高校生になって再会したれいちゃんは、相変わらず誰かをかばって自分が仲間外れにされているらしい。
正直れいちゃんを苦しめてる奴ら全員締め上げたい気分はおさまらないけどまあいいや。

ずっと俺がそばにいてあげる。
やっと見つけたんだ、もう絶対逃さない。


「れいちゃん、今日も一緒に帰ろうね?」

「遼くん勝手に放課後になったら教室の前で待ってるじゃん」

「あは、だって早くれいちゃんに会いたくて」

「物好きな人…」

不思議そうな顔で俺を見つめる顔がまた可愛くて、ついつい手が伸びそうになる。
れいちゃんが好きだと言ったらどんな顔をするだろう。
俺たちは昔会ったことがあるんだよ、と教えたらどんな顔をするだろう。


「れいちゃん、今日どっか寄り道して帰ろーよ。
駅前にできた生ドーナツのお店とかどう?映えるらしいよ」

「ドーナツが生…?それちゃんと火通ってんの?」

「ぶっ、大丈夫だって。れいちゃんおもしろすぎ」



…まぁ、まだ言わないけど。
まだ時間はたくさんある。
これからじっくり時間をかけて、れいちゃんの方から俺が欲しいって言わせてみせる。