遼くんは泣き顔がお好き。



「ちが…」

「ちが?ちがうの?」

「ち………」

「は?」

「ちがわ、ないです」

「だよねぇ、俺とれいちゃんは友達だもんね」

満足げにうっとり笑う顔を見ていると、
まあいいか。
そんな気持ちになるから不思議だ。

これも整った顔のなせる技なのか。


「またアイツがなんかしてきたら俺に教えてね、
やるから」

「や、やらなくていいやらなくていい
大丈夫だから!」

「れいちゃん俺の連絡先ブロックしてないよね?
いつもメッセ返してくれないし送ってもくれないじゃん」

「ブロックはしてないよさすがに…」

前に流れで交換した連絡先は、遼くんからのメッセージを受け取る専用になっている。
特に用事もないのにメッセージ送るとか、
女の子の友達にもしたことないかもしれない。


「ねー、俺がメッセ送ったらちゃんと返してね、
約束。返してくんなかったられいちゃんのとこ突撃するからね?」

「だって遼くん1日に何回もメッセージ送ってくるんだもん、返すのが大変…」

「あ、チャイム鳴ったよ。
とにかく約束ね、メッセージはちゃんと返すこと。5分以内に」

「なんか追加された…5分以内とか無理だから」


あたしの言葉を華麗にスルーして、じゃあまた放課後、と笑って背を向ける。

「…体操服、見つけてくれてありがと!」


あたしの声に振り向いたその顔は、不意をつかれたような幼い顔で。
普段よりもちょっとだけ可愛く見えた気がした。