遼くんは泣き顔がお好き。



教室の入り口に大きな身体を窮屈そうにねじ込んで、
きょろきょろと部屋を見渡している。
もうすっかり見慣れたその姿に小走りで駆け寄った。

「あ、れいちゃんみっけた」

「みっけた、じゃないよキミ。
ほら早く教室から出て!!目立つから」

小声で言いながら大きな身体をぎゅうぎゅうと廊下へ押して行く。
教室から遠く離れた廊下の端っこへ追いやると、
改めて遼くんの顔を見る。

「どうしたの教室に来るなんて。
あたしが教室に来ないでって言ってから一回も来てなかったじゃん」

「これ、れいちゃんのじゃない?」

ひょいと差し出されたのは、あたしがずっと探してた物。
巾着袋に入った体操服だった。

「あ、これ…!!!どこにあったの?!」

「ゴミ捨てるとこに紛れてた。だからちょっと汚れちゃってるよコレ」

たしかに、巾着袋は薄汚れているし若干臭う。
だけど中身は無事らしく、体操服はまだ着られそうだ。


「よかったぁ〜〜!!ずっと探してたの、ありがとう遼くん」

ホッとして顔が緩むのを感じながら遼くんを見上げると、
いつもとは違う据わった目があたしを見下ろしていた。