遼くんは泣き顔がお好き。



「くはらさーん、お昼行こうぜー」

「ごめん、先いってて!」

廊下で声をかけてくれた田道くんに素早く返事して、
そそくさと教室へ戻る。
ミカちゃんたちはどうやら食堂へ行っているらしく、教室には数人のクラスメイトしか居なかった。

「どこだ〜…」

ぶつぶつ独り言を言いながら教室中を探し回る。
ゴミ箱の中無し。
掃除用具入れの中、無し。
教卓の中、無し。

…本当にどこに行ったんだろう。

もしかして焼却炉行きとか?
まさかそんな、そこまでやらないよね?

最悪の事態を想像してズンと頭が重くなる。
体操服買い直しだけは避けたいのに。


「あれ、久原さん…タミたちが探してたよ?まだ昼行ってなかったの?」

「あ、うん、ちょっとね!何でもないの」

我ながら答えになってない、意味不明な返しをしてしまったと思うけどそんなの気にしていられない。
ミカちゃんたちが帰ってくる前に見つけないと。


「…なんか探し物?俺も探すの手伝うよ」

「いや!!!!いいのいいの、大丈夫だから!!」


体操服が無くなった、なんて口が裂けても言えない。
これ以上宮尾くんたちに心配かけたくない。
ほっといてくれオーラを必死に出すけど宮尾くんには通じないらしい。

「まさか、ミカたちになんかされた?」

そう言いながら宮尾くんの顔がどんどん険しくなっていく。

どうにか誤魔化せないかと視線をさまよわせた時、


「れいちゃーん、れいちゃんは居ますぁー?」


能天気な間延びした声が聞こえた。