遼くんは泣き顔がお好き。



「困る?なんで困るの?」

あたしの顔を覗き込むようにして身をかがめたせいで、
柔らかい艶のある髪の毛が目元にかかる。

顔が、近い。

「ちょ、またお前…っ
いちいち近づきすぎなんだよ!!
なんでこんな距離感バグってんだよ!」

「ミヤ、お前知り合いなの?この子と」

「知り合い…ではない…。」


宮尾くんが引き剥がしてくれたおかげでどうにか距離が保たれた。

助かった。

そう思った瞬間、


「ねぇ玲維、どういうこと?
アンタまで何なの?」

大きな声ではなかったのに、たしかに聞こえた。
冷たい声が耳に突き刺さる。

「ミカちゃ…」

「昨日あたしらに啖呵切ったと思ったら今日はこれ?
性格悪いのはアンタなんじゃない?」

「まじで最低。ミカが美澄くんのこと興味持ってたの知ってるでしょ?見せつけるみたいに教室まで連れてくるとかほんっとレベル低い!」

「違う!!連れてきたわけじゃなくて、」

「喋りかけんなブス!」


頭を殴りつけられたような気がした。
凍りついたミカちゃんの目を見ているだけで分かった。

もう、戻れないんだと。